Target 11 答え
あの一件の後、球技大会にも出ることになった沢田君。
もちろん、京子ちゃんと一緒に応援に出かける私。(花ちゃんは遅れてくる…)
なんだかんだいって、京子ちゃんは沢田君とは仲良くなったみたいだ。
よかったね、沢田君! 君にも春がやってきたんじゃないか!
そして、体育館にたどり着けば……沢田君がどれだけ期待されてるか分かった。
うぉー…弾幕まで在るよ、すっごいね!
「今日は雲雀さん来てないかー」
姿を探すけど、さすがにこの群れに雲雀さんは来るはずない、か。
まぁいい。あとで応接室に押しかけてみせる!
迷惑だって思われても関係ないっすもん♪ Going My Way!!
「あれー、ちゃん。背中に何かついてるよ?」
「ん?」
京子ちゃんにとって貰うと、それは一枚の紙切れだった。
何々……、『入ったらすぐ、右上を見ろ』…?
私は指示どおりに見上げてみて、姿を探せば。
案の定、どこかで見たスーパーベイビーが銃を構えていらっしゃいます。
おいおいおい! んな堂々と私に向けてるんじゃない!!!
「きょ、京子ちゃん! 私ちょっとトイレに行って来るね!」
「うん! 待ってるね」
私は猛ダッシュで、階段を一気にあがってスーパーベイビー…リボーンのところに向かった。
「ちゃおッス、」
「ちゃ、ちゃおじゃない! なんでいるのよ!」
「言ったはずだぞ? オレは、ツナの家庭教師だ」
「はぁ? 家庭教師って家で学ばせるものじゃないの…」
これじゃもはや、お付きの状態ですがな。
こんな堂々と銃を構えた赤ん坊がいるというのに、誰も気付かない。
しかも黒ずくめだぞ? マフィアな格好ぶちかましてる赤ん坊だぞ!? フツーは気付く!
「で、答えは決まったのか?」
「…ボンゴレの話?」
やっぱりか。私を呼び出すってことは、それしかありえないもんね。
「決まらないよ…まだにわかに信じがたいもん」
「…」
「でも、沢田君が…リボーンの教え子が、すごい人ってのは分かった」
昨日の試合は、まさにそう。
だれもが「ダメツナ」だなんて、連呼はしなくなった。
認められる存在になりつつあるんだよ。
パンツ一丁になると、彼は本気出せるんだねぇ…変態扱いだけど。
「お前が見たすごさは、オレの力でもあるんだぞ?」
「え?」
「まぁ見てろ」
…見てろって言われりゃ…そりゃ、見ますけど。
私はそこから見下ろすように、試合を見ていた。
間もなくして沢田君が体育館に入ってきた。皆が騒いで、彼を迎える。
京子ちゃんも笑って彼を見てるし、隣では花ちゃんがだるそうにしてる。
…沢田君も、照れてるなー。
そうして始まった試合は…みんなが拍子抜けだった。
沢田君はボールを拾えていない。皆がカバーをしても、おいつかないゲーム。
ついに追い詰められたとき、沢田君はコートから出てしまった。
ざわめく声から聞こえたのは「昨日の怪我が原因」…。そっか、怪我してたの、か。
でも…
「ねぇ、リボー…ん?」
話しかけたりボーンは既に・・・ここにはいねぇ。
「ちょ、いついなくなったー!?」
そんなに私、真剣に見てたっけ!? いやいや、居なくなったら普通に気付く!
やっぱやつは…スーパーベイビーだぜ…。忍の才能があるんじゃないのか…あ、そうか。
マフィアはなんでもアリ☆ そういうことかッ!
…恐るべしマフィア界!
「にしても…」
沢田君は、怪我じゃない。そんな気がした。…それに、コートから出て行くときの表情は…どこか複雑そうだった。
その原因はよく分からないけど、なんとなく。
しばらくすると、沢田君は戻ってきた。顔つきは…少しだけ違う。
なにか、吹っ切れたというか、もやもやが取り払われた感じ…かな。
もちろん、この人もすかさず戻ってきております。
「何処いってたの?」
リボーン。いつの間にか隣でまた銃を構えております。
その相手は…コートにいる…沢田君?
「ヤボ用だぞ。それより見ていろ」
リボーンは、銃弾を詰め込んでいる…って、おぉぉぉおい!
「撃つの!? え、ここで撃っちゃうわけ!? 死人出るよ!」
「出ねぇぞ。今回は弾を当てにしなかったからな…わかればよし」
はい!?
ちょっと待って、と突っ込もうとしたときには遅く、リボーンは引き金を引いていた。
それは、沢田君の両太ももを撃ち抜いた。もちろん、衝撃で沢田君が転んでしまった。
い、痛いッ!
「さ、沢田君!?」
「心配ないぞ、撃ったのは特殊弾だからな」
「はぁ!? と、特殊?」
私は身を乗り出して、彼の様子を見る。
…確かに、沢田君は撃たれたといった感じはなく、違和感に首をかしげている感じだった。
そりゃアンタ、銃弾足に撃たれれば違和感もあるでしょうよ!
…外傷はないけど…何が起こったの?
私はリボーンが何かしたと確信して…行方を見守る。
するとなんてこった。
もはやギネスブックにも載るんじゃねぇか? つーか、すでに人間じゃねぇぜ、おいおい。
それほど驚きのハイジャンプで、相手のスパイクをブロック使用とする沢田君。
な、なんじゃー!!!
「に、人間のできる技じゃないー!!」
あのバネは、…まさか!
「さっきの銃弾になにかあるの!?」
「察しがいいな、。そうだぞ、あの特殊弾は被弾した体の部位によって名称も効果も変化するんだ。
さっきは太ももに打ったから『ジャンプ弾』で、ジャンプ力を格段にアップさせるぞ」
「いやいやいや、格段にアップさせすぎで不自然になっちゃってるから!」
もう、相手も驚きすぎてボールの存在忘れてるよ!
「お前は他の効果も見てるはずだぞ」
「え?」
「剣道の試合を見ていたんだろう? あの時のツナは普通と違っていただろう?」
そりゃそうだけど…まさか…!
「それもその銃弾の効果!?」
「ああ。『死ぬ気弾』だ。脳天に被弾した奴は一度死んでから死ぬ気になって生き返る。
死ぬ気になる内容は死んだ時に後悔した事だ。昨日、ツナは勝負のことで後悔していたからあんな風になったんだぞ」
「…待って、それ後悔してなかったらどうなるの?」
リボーンは銃をしまいつつ…「オレは殺し屋だぞ」と不敵な笑みを携えて言いおった!!
つまり…死んでたじゃん、沢田君ッ!?
「なんか、沢田君が気の毒になってきたよ…」
そんなこんなで、球技大会は無事勝利に終わった…。
「で、どうなんだ」
「どうって」
リボーンはじっと私を見てる。…マフィアのこと、だよね?
「…なんとなく、想像していたものとは違う感じなんだよね」
マフィアって、いつ何時も拳銃持って争いあって…命がいくつあっても足りない毎日過ごすんだろうって思ってた。
でも、沢田君見てると…そんな感じがしないんだよね。
単に彼が普通の人だからかもしれないけど…。
それに…お母さんも、お父さんも…そこに居たって言うのなら。
「…分かった、入るよボンゴレ」
「いいのか?」
「誘ったのはリボーンじゃないのさ。今更何を」
もう、いいんだ。
ボンゴレだろうが、モンゴリアンだろうが、何でも来い! バッチコーイ!
「まぁ、お前が『NO』と言ってたら殺していたぞ」
「はい!?」
ってことは、最初から選択権ってのはなかったってことですか?
俺は殺し屋だぞ?
…天国に居る母さん、どうもこの赤ん坊だけはアブナイみたいです。