Target4 喧嘩上等!



私はレイピアで、雲雀さんのトンファーを弾き返して素早く攻撃体勢に移った。
私が始めて仕掛けた攻撃に、一瞬の戸惑いが出来たのか…剣先は雲雀さんの頬を掠めた。


やばい! 美麗な顔を傷つけちまった!! こりゃぁ大罪だ!


「ワォ。君、ちゃんと戦えるんだね」

「こっちから仕掛けると、仲裁に入った意味なくなると思いましたから。でも今は関係ない! ただ純粋に…貴方と喧嘩する!」

「喧嘩っていうほど、僕は甘くないけどね」


素早くトンファーを振り回して迫ってくる雲雀さん。
迫る〜ショ○カー…なんて、結構脳内は冷静だよ!


私はバックステップで交わしてみせた。一瞬でも宙に浮いた私の体に、容赦なくトンファーを打ち込んでくる。
だけど、そんなの私には無意味ですよ!
私はその力を利用するために、ローファーの靴底でガードして高く跳ね上がる。


「いっくよー!!」


空中でヒラリと回転し、レイピアを構えて急降下させる。
雲雀さんもトンファーを構えて、私の攻撃に備えている…。
私の狙う場所は一点だけ! あの人が持ってるトンファー!



私は構えられたトンファーを狙ってレイピアで突いた…








はずだったんですが。




ゲッ!



雲雀さんは不適に笑って、トンファーに仕込まれていた鉤を出し、私のレイピアをあっさり受け流した。
おかげさまで私の体は受身も取れない状態で下に落とされる。レイピアも宙を舞って、私の横に落ちた。
拾おうと手を伸ばしたけど、届かない…むーテナガザルだったら届いたかな

雲雀さんが横に受け流しただけだったから、ダメージは少ないけどさ。それでも…痛いわけですよ!



「…僕を欲情でもさせたいの?」

「へ? 欲情?」


欲情? 浴場?(違うな


…よくじょー……欲情ゥ!?


私は足元がスースーすることにやっと気付いた。
あかん! スカートまくりあがってパンツ丸見えやないか!!



のわぁぁあああ! 見るな、見るんじゃない!

「趣味じゃないよ。白に赤の水玉なんて

バッチリ見てらっしゃるー!!


私は素早く身を起こし、スカートを直しつつ後退する。でもいつの間にか背中には壁…。
頬を赤らめない辺り、雲雀さん…見慣れてますか!?
それとも見苦しい余りに、絶句ですか!?



というか、何で笑ってるんですかぁぁぁあ!!!


あ、欲情してるのか?



「してないよ」

「でしょうねーって…ん? 心読みましたか!?」

「さぁね…でも」



雲雀さんは私の上に覆いかぶさるようになり、首元にトンファーをあてがった。



「次はどうする気かな、終わってもいいんだよ?」



口の端をあげてそういう雲雀さん。余裕だな…楽しそうだよ!


「…むぅ、それもそうですね。乙女の神秘、第33番を見られてしまったなら…仕方ないです」

「(33個目なんだ…)じゃあ、終わり――」



へんっ!


「終わる訳無いですよ、こんなに楽しいのに!」


私は、諦めが悪いんだ!!


さっと私は雲雀さんのわき腹を蹴り飛ばした。


「ッ…」


体勢を崩している隙を突いて、私はレイピアを手に持って飛び掛かり…形勢逆転!
今度は私が押し倒す形になりました!

雲雀さんの目の前で、レイピア構えて笑って見せた。



「ふっふーん、私は強いんですよ、人並みには!」

「まぁ、僕を組み敷いた人間は初めてだよ」

「え、本当ですか?」


じゃあ、ちょっとは認めてくれたんだ! なんだか純粋に嬉しいなぁ。


「というより、男の上に平気に乗ってる年頃の女ってどうかと思うけど

「そんなこといったら、女の子に容赦なく攻撃してくる貴方もどうかと…

「どうでもいいよ」

「え、いいんですか!? 全国の女の子が一斉にツッコミ入れると思われます!



顔が綺麗なのにもったいないです!

知らないね



「…何気に余裕ですね、雲雀さん。さすがと言うか何と言うか」

「まさか勝った気でいるの?」

「いや、全く」


ある訳無いですよ、もう一杯一杯。
私がそういうと、眼下の雲雀さんは溜息をついた。呆れてるのか!?


「…ないわけ?」

「はい。だって、私これ以上手がないですし…貴方には他の手はあるんでしょ?」

「あるよ。君を咬み殺すことなんて容易いからね」


うっわぉ、すっごい余裕だな〜!


「レイピアがあれば、なんとか攻撃は防げますけど」

「じゃあ、その細い剣がなくなったら…どうするの?」



え? 私は自分のレイピアを見る。
すると…なんてことだ!


レイピアは脆く壊れていく…。そっか、これはシュバッと出てくる仕組みだから(うるさい
つなぎ目のところは壊れやすい…圧倒的な力には、耐えられなかった…!


残されたのは柄の部分だけで、刃のない寂しいレイピア。


お、お母さんゴメン!!!





私、あっさり喧嘩に負けたよ。