Target3 交戦中!
「ヒィィィ」
情けない声で悲鳴を上げてる不良達の下へ、さぁ走れ、やれ走れ!
「これで終わり」
「ウワァァァ!」
あと5m…
雲雀さんがトンファーを振り上げた。
3m…
私も手に持ったものを振る。
1m…っ
ずしりとした重みが、私の腕にかかってくる。
なんとかトンファーを振り下ろす前に間に合ったみたい。
「ふぃ〜、間に合ったっちゃv」
う●星やつらのラ●ちゃん風にキメてみました。
攻撃を止められた雲雀さんは、少しだけ驚いているのか目を大きく開かせていた。
あー、よかった、間に合って。
「(ちゃ?) な、なん…だ?」
「雲雀さん、でしたよね? いくら相手が苛めていた人物でもここまでやったら痛いですよ、見てるのが」
「…邪魔しないでくれる?」
すごい眼力で睨まれましたよ。ちょっと、怖い。いや、かなり怖い!
そんなところに、オドオドしつつ後ろの不良さんたちは聞いてきた。
「お、おい、お前…手に持ってる奴、何だよ」
「へ? あぁ、これは護身用のレイピアです!」
「レイピアァ!?」
そりゃそうだよね! フツーは銃刀法違反で掴まるよ、これ持ってたら!
でも、普段は剣先ヘッ込んでるから! 振るとシュバッって出てくる仕組み! そう、シュバッと!(黙ろう
だから見つからないのです! というか、必要ないと思ってたのに!
「へぇ、だったら少しは戦えるってことだね?」
「それなりには。でも…戦う理由はないですよ!」
「あるよ。君は僕の前に立っているから、ね」
そう言いつつ、もう一方のトンファーを私の鳩尾を狙ってきた。
私はそれを見極め、さっと避ける…けど
ゴンッ!!
「グホァッ!!」
「おい!!!」
避けたら、不良さんに当たっちゃったよ…トンファー…。
うわーかなり申し訳無い、申し訳なさ過ぎて、なんか…
「スイマセン!」
「謝ってすむかー!!」
「スイマセン、まじでスイマセン!」
「よそ見してていいの?」
素早く私の背後をとった雲雀さんは、横から私のわき腹にけりを入れる。
「ッ」
容赦ない一撃に何とか耐えて見せた。
「おおぅ、乙女にも容赦ないってことですか…。さては貴方、ドS…!」
「うるさいよ、咬み殺されたいの?」
「いや、今まさに殺されそうじゃないですかこの状況!
というかですねー! イジメを止めるために貴方は割って入ったんじゃないんですか?
だったら、苛められた本人はあそこで情けなくも腰抜かしてるので大丈夫ですよ。
この人たちも、ここまで痛めつけたら懲りるでしょ? 必要以上の暴力は正義じゃない」
「僕はただ、並盛の風紀を汚したくないだけだよ」
そう言ってまたトンファーを構えて私に突っ込んでくる。
やばい…強い、この人。防ぐのが精一杯で、避けるなんてできない…。
攻撃が当たると痛い。すっごく。
私は、止めに入った立場だから…攻撃なんて仕掛けられない!
だから避けるしかないのに…させてもらえないよ!
でも…なんだろう。心は辛いなんて思わない…。
まさか私…ドMだったの!?
んなわけあるか、ボケッ!
なんて脳内1人突っ込みは置いといて。
ああ、これが…戦うことの楽しさ!!
「…分かった。貴方は…戦うことが楽しいんですね?」
私は辛うじて攻撃を留めさせ、そういった。
「…強い相手を下すのは好きだね」
「だったら…文句は言いません。私と喧嘩しましょう」
「へぇ、やれるの君に。見るからに弱そうだよ」
「関係ないですね! だって私、今貴方と同じ気持ちです。喧嘩したい、貴方みたいな…強い人と!」
もう不良たちとか、新入生Aとか、関係ないよ!
私が待ってた青春はここにある! こんな強い人とやれるなら私は…楽しめる!
そう思って、私はレイピアを構えた。
喧嘩上等だ!