真新しい制服に腕を通し、しっかりと着てみる。
それで鏡の前に立ってみれば。
「うん! なかなかじゃん、自分っ」
今日から中学生って感じがするよ! 大人だね、私。
「さーって! 並盛中1年 、しゅっぱーつ!」
どんな出会いが待っているのか、今から凄く楽しみですよ!
Target 1 レッツ青春!
新しいローファーを履いて、鼻歌交じりにスキップしながら登校!
あーもう、楽しみで仕方がないって言うかなんていうか!
中学校っていったら、新しいクラスに友達、部活だってある!
部活は…何に入ろうかな。運動系がいいんだよなぁ!
フェンシング部はないみたいだし、仕方ないから他の部活だよ。
私は小さい頃からフェンシングを習ってた。というか、習っちゃえた環境だったんだけど…。
お母さんはフェンシングの世界チャンピオンになった人だけど…フェンシングは私を産むころにやめちゃった。
ま! チャンピオンになったとはいえ、私に強制させるわけじゃなく、ほぼ遊びと同等だったけどね。
楽しかった、試合とかも出ようとしなかったけど、お母さんと一緒ってだけで嬉しかったよ。
何かとお母さんは忙しい人だった。お父さんは小さい時に亡くなったって聞いてる。
だから、女手1人で私を育てるのが、大変だったのかなぁって。
といえども。
お母さんは何かとお金は持ってた。うん、どっから調達してたのかは不明なまま…3年前に、亡くなった。
それからは、友達の家に預けられて小学卒業までお世話になった。
「いいのよ、お金は貰っているから」
そういうけど、親戚とは関わらなかった私に親戚関係なんてあったの?
時々その家に来た黒い服の人が、お金を渡してるのは見ちゃったけどさ。
結局その人もどんな人か分からないままに、私は中学生になって自立することになった。
なんてったって、友達は私立中学に行くことになったし…これ以上お世話になるわけには行かなかった。
自立する為にも新しい環境にする為に、並盛に引越した。
というのも、その友達の両親から並盛を勧められたからなんだけど…。
「ぬー…まぁ、いっか」
お金はなぜか困ってない、それならそれでいいや!
とそんなこともんもん考えてる間に並盛中学の校門に到ちゃ――…
「おい、そこのお前!」
――く? え、私!?
そう思って振り返れば、私じゃなかったみたいで一安心。
でも…どうしたのかな。
呼び止めた人は、学ランで…ここの制服じゃない。さらに『風紀』って書いてある腕章がある。
「な、なんでしょうか」
呼び止められた男子は、どぎまぎしながら答えている。
体格がよく、リーゼント(っていうのか)の人ばっかりだから…うーん、怖いね!
威圧感に耐え切れないんだろうなぁ。
「それは学校指定の鞄じゃないな」
「あ、あの…買い間違え、ました…」
「…入学初日だ、今日は見逃すが…明日からは指定のものにするように」
「は、はい。すいませんでした…」
良かったね、見逃してもらえて!
私も安心しつつ、挨拶しながら校門を潜り抜けた。
クラスが発表されている掲示板を見て、私はその教室入る。
ちなみに1年A組で、知ってる子は全く居ない。
そりゃそうだよ、並盛には初めて来たんだからね!!
ここから友達作っていくぞー!
「よしッ、まず挨拶から行こうじゃないか!」
私は決められた席に鞄を置いて、近くに座っている女の子に声をかけてみた。
「おはよう!」
女の子は振り返って笑って挨拶を返してくれた。
「おはよう、貴方もA組?」
うわ…めっちゃ可愛い…。笑顔が眩しい、太陽が光臨なさったよ!
こんな子、絶対モテモテ…、あ、言わずとも数人の男子が頬を赤らめてるゾ!
「そう! だよ。えーっと…名前教えて」
「笹川京子って言うの。よろしくね、さん」
「堅苦しいからでいいよー! 私は京子ちゃんって呼ぶから」
さん付けなんて、小学校で卒業ですよ! というか京子ちゃんの可愛さなら高校生でも通るよ!
「じゃー…ちゃん、だね!」
「うん! これから仲良くしてね〜!」
やった、友達1人目ゲットォ!!!
というか京子ちゃんは、全然人見知りなんかしない子で…すぐに話は盛り上がる。
よかった! これからの学校生活が楽しくなりそうだ。
「あ、花っおはよー」
「おはよ…あれ、この子誰」
うわ、また美人な人キターー!!
見る限り、京子ちゃんの友達なのかな!
こっちは高校生通り越して、大人の魅力醸し出してるー!
女の私も翻弄されかけてるよ…大丈夫かな。
「初めまして、 です。花ちゃん、って言うの?」
「そ、京子の友達で黒川花。よろしく」
「よろしくー!」
ノリで2人目ゲットだよ! どっちも女の子として最高の魅力が会って…うん、いいね!
地球に生まれてよかったー! (モノマネ)
そんなこんなで、京子ちゃんと花ちゃんと仲良くなった私は入学式も気を楽にして参加できた。
これから青春謳歌するぞー!! と、気合を入れて間もなく…
私の人生は大きく変化したのだけれど。