俺が看病された日から、アイツがなぜか放って置けなくなった。 なぜだ?どうでもいいはずだろう? アイツはイノセンスをまともに扱えない、足手まといな女なんだ。 じゃぁ、なぜだ?俺自身も分からない。 構うなといった俺、それでも放っておけないというアイツ。 俺はアイツに、何を感じたのか? お前は、何か感じたか?…。 キチガイ店主と西洋人形娘 ども、いままでのおさらいのコーナーいってみましょう! 最近徐々にこのコーナー長くなってないかって?まぁそれは気になさらず☆ 私はエクソシストになって初任務!に神田と向かうことになりました。 相変わらずのブラックリナリー、略してBリナに 一同押されに押され…合掌とまではいかないけれど 彼女の脅迫ヂコクはまじめに恐ろしいです、母さんやい。 さて、そんな彼女に見送られてたどり着いたのはドイツ・ミッテルバルト。 そこでめっさいい感じのおばあちゃんに出会いました。 お婆さん曰く、その先の森に行くと魔女がいて、食っちまうんだとサ☆ 危ない意味じゃないよ?いたってフツーに食っちまうらしい。ある意味、18禁の領域DA そんでもっておばあちゃん、確かに分かるよ、その勘違い。だって…美人だもんね、神田! お嬢さんと間違えられてました 神田ユウ、18歳、おばあちゃんに乙女と間違えられたという偉大なる称号をGETだゼ!! とまぁ、んなグタグタが続き、おばあちゃんと別れて森へと進む私たち。 お嬢発言で怒らしてしまった神田と仲直りし…そこで、男―アクマの襲撃にあい…続いて この時代のウド●木、もとい探索部隊のゴズの襲撃にあいました。 オンナノコの永遠の夢、後ろからギュッ☆が呆気なく叶えられてしまった…。 意気盛んな神田、そんでもってまだ襲ってくるアクマ達に、、負けないッ!的な勢いで イノセンス、『神空』を発動させました。神田がアクマを倒していく中、一人の襲撃を『銀』で防ぐも 奴はウド―、ゴメン、ゴズを人質にとりやがりました。 そこでの神田は、ツンデレ、発動!。ゲフゴフ、呆気にとられた私たち(アクマも含む) 真っ先にはっとしたアクマがゴズを押し、私たちはぶつかり合って… ゴズと神田のサンドイッチになってしまった…。 やらしいぞ、この歩くフェロモンめがッ! そんなこんなで、さっきのアクマが逃げた方向…村の方へと私たちは急いで向かう…。 見えた村の荒れようは、すっごく酷かった…。 「うっわー…。これなら『魔女』がいても可笑しくない雰囲気かも」 「ですよね、これは確かに何か起こってもおかしくないですよ」 でもゴズやい。そのでかい図体で私の後ろをついてくるのはやめんさい。怖いわ、影が出来て。 神田は黙々と進んでいく、さすが…お嬢さん疑惑かけられても勇ましいぞ、神田! ミッテルバルトとは大違いの雰囲気をはなってるダンケルン村。 なんつーか…人の気配がない。ええんかい、勝手に入ってそれが敵だったら住人みんな食われるぞ!? そう思ってあたりを見渡す…。ほんと、誰もいないやー…。 「資料では確か、家畜を飼ってたりしている家が多いとありましたけど、人どころか動物の声もしないですよね…」 「本当に食べられたの…?魔女に」 「やめてくださいよさんッ!俺、また抱きつきますよ!?」 「抱きつくな!!」 神田はカッとゴズを睨んでおります。ゴズはビクついて私の影に。 だから、やめようよそれー…愛嬌はあるけどサ 「第一、魔女の話は信じるんじゃねぇ。おい、お前!」 「「どっち?」」 「ッだ!こっち来い」 「ヤダ、愛の告白!?」 「黙ってこれねェのか、テメェは!」 あんまり怒ると…血管、切れちゃうゾ☆ なんて星飛ばしてみるけどスルーされちゃいました。。。悲しいよ神田。 お母さんはそんな冷たい子に育てた覚えないのよ!? まぁ、神田の隣まで追いつくと、神田はじっと私の顔を見た。 「なに?」 「イノセンス、使えるんだな」 「あー…さっきのアレ?」 『銀』は、私の血を利用すれば簡単に出来ちゃうらしい。 そうご本人が言ってたんで…。 「だけど、ああいう使い方しか出来ないの。ごめん相当頑張らなくちゃいけない子だからさー」 「シンクロ率は?」 「え、それ聞く?聞いちゃう!?やだ、神田…タイミング悪〜いv…17%だって」 「…いちいち長ったらしい奴だなテメェは…!」 すいません、まじでごめんなさい!だから六幻はやめッ! 「だいたい17%で…よく任務出してもらえたな」 「神田がいるからでしょ?」 「あ?」 「神田が…守ってくれるんでしょ?」 当たり前よね?だって神田、私が傷物になったら コードネーム黒いあの子に呪われちゃうもんね!? しかもいざとなったら…神田を置いて、マッハで逃げる! 神田が駄目でもゴズを…、だめだ!ゴズは一応任務の目的だった…連れて帰らないとっ! じゃなきゃあの狂ったコムイが…ゲフッ! そんな邪な考えをしている私に、神田は 「チッ、目の届く範囲にいたら、な!」 そう言ってくださった。不覚にも…ドキッとした。 やだ、神田!整った顔で言われちゃうと、思わず襲…とにかく萌! 神田は神田で、私とは顔を合わさず…表情が伺えないじゃないのー!! あ、今ポツンと来た。 「雨ですね…」 分厚い雲で覆われた暗い空からは、ぽつりぽつりと雨が降り出した。 「雨音と、俺達の足音以外聞こえねぇ…」 「いくら辺境でも、こんだけ暗ければ…明かりをつけるはずだよね」 「うう、魔女が住んでるんですよー!やっぱり!あぁぁ怖い!怖いですさぁん!」 ゴズは私のすそをぐいぐい掴んでくる。だー、でけぇ図体して!! もう放置だ!気にしない! 「んー黒姫!人の気配が在りそうなところは??」 大人しく私の頭に乗っていた黒姫に呼びかける―が、完全無視かコラ 「さっきまで頻繁に動いてたじゃない…あぁ、そう。お腹がすいたの? でも黒姫、それみーんな同じなのよ?ほら、お腹の虫が元気良く…」 ふわっと黒姫が飛び上がったと思ったら… ガブリッ 「ッわああああああ!!!」 犠牲にあったのは…ゴズでした。 ゴズの赤い髪の毛が何に見えたの?赤毛…あぁ、クロスね?あの変態を見たのね? でもクロスに心酔しているから…似てて目障りだったとか!? えげつない…黒姫… そう思って、いい加減助けてやろうと思っていたら―オイ! 「さぁあああん!!助けてくださーーーい!!!」 「抱きつくんじゃねぇぇえええ!!!むさ苦しいわぁあ!」 「だって、怖い―「界蟲『一幻』!!」…ゲフォア!」 よかったね、刀ですっぱり切られなくて☆って、そうじゃぁない!! もろ…神田の技くらってる!!!アクマも消し飛ぶ威力…! 「か、神田ァア!!?」 「手加減はしておいたぜ?」 「そういう問題じゃないッ!ゴズが吹き飛んだ先には家がァ!!」 「俺の心配はナシなんですね、さん…」 生きておったか、おまい 「ここ、雑貨屋みたいですねー!」 何もなかったかのように、キョロキョロしだすゴズ。。。 おい確実にくらってたよね!?奴…不死身か! 神田も神田で詫びもせず、ゴズの存在スルーで店内に入る。。。 というか、壁が壊れたのに駆けつけないとか、大丈夫かこの店! 「すいませーん、誰かいませんか?」 「激しくいないと思うのは私だけかな…、こんだけ立派に壁壊されて…」 「いらっしゃい!」 カウンターからひょっこり店主らしき人の顔が出てきた。 「いるのかよ、ヲイ!!!!」 「今日は何をお求めで…あぁ、少し壁が壊れていますね。申し訳無いです」 「壁を壊したこと疑わないのか!?ちょっとマスター!!」 「AHAHAHAHAHA!気にしないで下さい!」 狂 っ て ら … もう疲れた、もうだめ、なんだこいつ等…! 「俺達は、黒の教団だ」 神田は淡々とそういう。私達のコートのローズクロスはあらゆる場所の入場が認められてる…らしいけど。 さすがにさぁこんな遠いところだとわかんないでしょうに; 「えーと…キチガ、え、偉い方なのですね?」 「あきらかキチガイ言うたな、コラ」 はぁ、とため息をつく。何だこの店主、きみがキチガイじゃないのか? 黒姫がふらふらと飛び、カウンターに行き着いた…。人を襲うのも時間の問題…か; 「あの、最近この村に行ったきり戻ってこない人が続出していて、それを調査中なんだけど…」 「『帰らずの森』と呼ばれているそうですね?」 そうゴズが訊ねると、店主はキョトンとして 「そうなんですか?」 そういった。私と神田は顔を見合わせた。 そんなに、村から出ることはないのかな…? 「村人以外、誰かかここを訪れたことは?」 「いいえ。私が知る限りいません、あなた達ぐらいですよ! この村には何もありませんから、普段も知人や身内の人ぐらいが時々尋ねるぐらいです」 「そうなの…?じゃあ、何か変わったこととか起こってない?」 「いいえ。私はあまり外に出てませんので…」 店主はよっこらしょ、と腰を持ち上げ、カウンターから出てきた。 前かがみで、杖を突きながらぎこちなく歩く店主…そこまで歳はとっていないよね…。 「足を悪くしてしまって…。店の買出しも他の人に頼む始末ですよ」 呆れたように苦笑する店主に、ゴズは「大変ですね」と返す。 神田が私を呼んだ。 「これ以上は何も情報を得られそうにないな」 「だよね、あの店主さんは知らないし…壁壊しちゃったし」 「おかしい、アクマはこの村に向かう奴等を襲っていた。…この村に何があるって言うんだよ」 「逃がしたアクマだって…村には入り込んでいなさそうだし」 2人していろいろ考える。 とはいうものの私の脳内、お腹が空いたーとか考えちゃってるわけで 出発してから、何も食べてないなぁ…。あ、黒姫…カウンターかじりだしちゃった! ゴメン店主さん!コムイさんに請求しとくから! 「ところでー、この村って他にも人がいますよね?」 「え、ええ、もちろん!」 ちょっと戸惑いながら、ゴズの質問に答えた店主。 良かった!ちゃんといるんじゃない! きっと神田が怖くて、皆隠れてたんだネ☆ 「テメェ、なんで俺のせいになる」 「げっ!な、なんのこと?」 「とぼけんな!全部声に出てたぞ!」 「嘘やん!」 「チッ…おい、ゴズ。行くぞ、他の家も当たってみる」 うっわー、苛立ちマックス神田君だー!カルシウム、足りてるかい? そう思いつつ、私は黒姫を呼ぶけれど…まだかじってるよあの子… 壊れた壁からは、強くなる雨脚が見える。 「神田ー今凄く土砂降りだよ?」 「ッ」 さすがにそれには躊躇する神田。でも水も滴るいい男、というじゃないの! さぁ、さぁ!逝くのよ神田!雨の中を走り抜けろ!全国の腐女子の期待を背負って! 私は神田が逝く(行く)のを期待しつつ待っていると…店主が口を開いた。 「お客さん…もう夜ですし、こんな天候です。明日にしては如何ですか? そちらのお嬢さん、顔色があまりよろしくありませんし…」 「え?…私?」 こんなに暗いのに、顔色とか分かるの? 神田はじーっと私の顔を見てくる。 「…確かに、な」 「大丈夫よーお腹すいたのと、疲れただけだし…」 お腹空いた8割、疲れた2割だい。見つめんじゃないよ! それだけいうと神田は私の頭に手を置いて「じゃぁ、いいな」という。 以外、神田の手…大きいよね。女顔―っていっちゃ失礼だけどさ、男だよね、やっぱ。 「お客さん、どこかへ泊まる予定は?」 「いえ、特には…」 「こんな村ですので、宿屋はひとつもないのです。 もしよろしければ2階に泊まりませんか?空き部屋がありますので」 食事も用意します その言葉に真っ先に反応したのが、私!ではなく カウンターをガジガジとかんでいた黒姫。。。食意地、すご 飛び上がり、凄いで店主に向かっていき、彼の頭上で舞う。求愛ダンスか、それ… ゴズは嬉しそうに顔をほころばせ、私たちを見た。 神田はため息、私は勿論大きく頷いた。 「「よろしくお願いしますッ!!」」 やっと休める!眠れる!食にありつけるッ!!! もう頭の中は食べ物一色だ…、ドイツと行ったら何? アイントプフ?(ソーセージ、ジャガイモ、にんじん、レンズ豆を煮込んだスープ) レバーケーゼ?(ドイツ風ミートローフ) たしか…ハンバーグだって、ドイツが本場! でも、こんな村だし…。食えりゃオッケー! 「あ、でも、1部屋しか開いてませんよ」 「気にしない!私は食べ物なら何でもいけますよー!……って、は?」 「気になさらないなら、いいんですね。1部屋で」 はい? 「ひ、ひひ、1部屋ですと!?」 「何騒いでやがんだ、行くぞ」 「マテヤ、神田!私は何者?」 「ナマモノだな」 そりゃナマモノですよ。人間は!…って 「そうじゃねぇぞ!!私は女!ウーマンよ!? いつ、どこで、何が、神田が、襲うかもしれないじゃない!」 「だ、誰が襲うかよ!!」 「リナリーが言ってたわ、男の中には狼が潜んでるだって! でも…襲われるぐらいなら、いっそ襲ってやるんだから!」 「女が襲うとか言うもんじゃねぇ! あ、あのな…お、俺にだって…選ぶ権利はあるッ」 私は選択肢の一つかい。 「うぅ、どうせ、どうせ!私なんて魅力ないわよ! リナリーぐらい胸があれば、襲う人はいるもんね…… どうせ貧しいですよ。ふーんだ、コムイさんにも言われたもん…」 「は!?」 「うわーん!…あ、お腹空いたー!」 「おい、待て!コムイって何だ!コムイ!」 ともかく、お腹が空いたんで…。 神田は呪文の如くコムイさんの名前を呟く。怖い しばらくその場で待っていると、奥からいい匂いが漂ってきた。 「夕食の用意ができたので、こちらへいらして下さい!」 威勢のいい店主の声が聞こえ、私とゴズ、それに黒姫は 急いで夕食へと向かう!メシじゃー!!メシ!!! 台所から、ひょいと女の子が姿を現した。 「こんばんは」 あ、かわいいー!!いかにも外人って感じの女の子…! リナリーは黒髪だから、日本人みたいだったけど…。 この子は金色の巻き髪、それに澄んだ青い瞳。 西洋人形みたいだー…部屋に飾りたいッ!! 歳いくつ位かな?外人の子ってみんな大人っぽいからなー…。 意外私と同じくらいだったり! 私より先に駆けつけたゴズは、台所の入り口で固まって… その表情を伺えば、おぉ、なんということだ。あのごつい顔が赤く染まってるぞ! あぁ、でもここで留まられると…食にありつけないッ!早く退けー!! と思ってると、黒姫がゴズの頭めがけて体当たりしおりました 「痛ッ!!」 「黒姫のお怒りだって;…ちょっと、神田!いい加減にしたらー!」 その場を動かず、いまだ呪文を唱え続ける神田を呼ぶと… はっとしてこちらに向かってきた。 「!!コムイになんかされたのか!?」 「な、何もされてないってば」 「あいつのことだ、何かされただろ!はっきり言わねぇと…刻むぞ!」 私の肩を掴み、凄い形相で見てくる神田、まじめにこわいぞ! つーか、なぜ刻まれないといけないのさ!理不尽じゃい! ヘタしたらBリナより怖いぞ、怖いぞー!! 「いい加減にしてくれコノヤロウ!お腹すいたんじゃい!」 私は神田の後ろに周り、その背中を押し台所に向かわせた。 並べられたイスに座ると、おいしそうな料理が並んでいる! 「ドイツだ、ドイツー!!」 「あ、あの!初めまして、お美しいですねー!お嬢さんですか!?」 興奮しながら店主の顔を見ている。おいゴズやい、鼻の下伸びてる! なにイケナイ妄想繰り広げてるんだ!頭が桃色! そんな店主は戸惑い、苦笑しつつ 「はい、娘のソフィアです。16歳になったばかりなんです」 そう紹介した。紹介を受けたソフィアさんは、ニコリと笑う。 純粋なその笑顔…黒を感じないその笑顔花みたいだ つか、同い年!やっぱ外人パワーだ! 「お疲れでしょう?たいしたものではありませんが…どうぞ召し上がってください」 「たいしたことないなんて…そんな!おいしい!」 「もう食べてたんですか!?さんッ!」 おー悪いか!腹が減ってはなんとやら! すっかり手をつけさせてもらってますぜ! 「黒姫ーアンタの分!」 そういってパンを渡すと、喜んで空を舞った。 つーかパンとかも食べれるのね、アンタ…。 「お前…色気より食気だな」 「神田…色気はなくても生きてけるわよ!」 「食気もなくてもな…」 うっさいやい!食気は大事だもんね! もし男女が無人島に行った時、色気なんて選んでいられるか? んな訳無いでしょ!ボケぇ! 「ふふ、さん…おもしろいですね」 「えー敬語いらない!同い年でしょう?」 「そう?じゃぁそうするわっ」 くぅ!その微笑みがまぶしいぜぃ!! って今の自分、おっさんやん・・・。 「おま、16歳だったのか!?」 「へ?あー、うん。ちなみにリナリーと同じ歳ー」 「…14歳ぐらいだと思ってた。」 「うっせぇ!…神田は悔しいけど、歳相応だよね…」 リナリーから聞いたんだけど、神田とラビは18歳なんだよね。 二人とも属性が違うんだけど、たしかに18歳に見える。 まぁ年齢はどうでもいいとして!私はスープを口に運ぶ。 「くぅ〜まじでおいしいぃ!」 「本当ですね!このスープ、絶品じゃないですか!ソフィアさんが作ったんですか?」 「えぇ」 「ぐむ、全部おいしいでふ。あ、パンもおいひい!さん、どふでふ!?」 「「食うか喋るかどっちかにしろ」」 私と神田のダブルパンチをくらったゴズ。それでも勢いは止まりませーん! 口から飛んでるって!ソフィアも笑ってないで!ひけ!ヒけぇ!! 「ソフィアは店を手伝っているの?」 私が興味本位でそう訊ねた。 「いいえ。私はミッテルバルトで針子の仕事をしてるのよ。 最近ちょっとまとまったお休みをもらえたから、久しぶりに村に戻ってきたの」 「ほへぇ〜…ん?」 私は神田の視線を感じて、そっちに目を向ける。 な、何よ…怖い顔して私を見つめないでよ…襲うよ!? 神田はいい加減通じてくれといわんばかりに見つめてくる…なんやねん! 「町から村に来たんですかー。いつ頃に?」 ゴズはソフィアさんにそう訊ねていた。 神田はその様子を横目で見て、踏ん反り返った。 そ・そういうこと…!ソフィアのプロフィールをゲットしたかったのね! そうか、ソフィアに惚れちまったのね 「えーと十日前ぐらいかしら」 ソフィア可愛いもんねー、あぁいう子なら襲いたくなるよね! でも神田、襲うのは待ちなさい。夜這いも駄目よ。 一気に押したらあぁいうタイプは3千里先まで引いちゃうから 「そのときは森の一本道を通って帰って来たんですよね?」 「えぇ。それしかこの村に帰る方法はありませんし…」 ふふふっ神田、まかせなさいな。この、女として一肌脱ぐわよ! 「それで、無事に来られたんですか?何事もなく!?」 「ええ…、でもそれが何か?」 「いえ、襲われたりとか…」 襲ッ!? 「ソフィアぁああ!襲われたの!?どこの!?誰にぃ!?」 「え?ど・どうしたの急に」 「だめよ、駄目!貴方の貞操を捧げる相手が違うわ! くそう!どこの誰じゃ!抹殺じゃぁ!!」 「て・てい…?」 なんてこった、そうだ!ソフィアぐらい可愛い子、放っておく訳無い! 「神田!時期が早まったわ!ここはひとつ!甘い言葉でもかけちゃいな!」 「そこでなんで俺に話を振る、というかお前の脳内で何が起こっているんだ!」 「女なんてね、耳元で甘いこと囁けば落ちるものよ!さぁ逝け!」 「完全暴走区域ですね…」 店主、そうだと思うなら逃げろい! 「、こっちに来い!」 立ち上がって私を連行する神田。 連行する相手が違うぞ!神田やい!! 「何してやがんだ!」 「だって、神田…ソフィアに惚れたんでしょう!?」 「あぁ!?」 「だって、聞き出して欲しかったんじゃないの?」 「ふざけんな!!この町に帰ってきたソフィアが襲われなかっただろう? この村にいったやつは帰ってこなかった…、アクマだっていた訳だ、 あいつの状況を聞きだしたかっただけだ。勘違い女!」 「だって、目ェ見られただけで分かる訳無いじゃん…! あぁ、ゴズには通じてたんだ!愛の…いや変則愛のテレパシー?」 「六幻ッ」 構えんな、ごめんなさい、お許し下さい 「…だいたい、俺は…」 「何よー?」 「…あーいう女は、趣味じゃねぇよ」 「うわっ!どんだけ理想高いの!」 「ッ!そうじゃねぇよ!チッ、戻るぞ!」 何さ!やっぱ本命は…リナリー? なんてったって、美人だし?あの黒さに…!? まぁそれは教団に戻ってから追々… 席に戻った私は、キョトンとしているソフィアに訊ねた。 「取り乱してゴメン。それじゃあ、この村に戻ってから何か変わったこととかは?」 「うーん、特に変わったこと無かったわ。ね、お父さん」 「あ、あぁ」 突然話を振られた父親が、肩をビクつかせる。 そりゃそうだ、暴走中の私を見た後だもんね…放心してた魂戻ってきたんだね! 「そうですかー!ここを見てると平和そうですもんね! 実は「魔女の村」って噂を聞いていたもので、びくびくしてたんですよー!」 そうゴズが言った瞬間、 店主が食器を落とした。 「ま・まさか・・・!」 「?さん…?」 「店主さん…そろそろ生まれるんですね!?」 「死ね、テメェ!」 神田に思いっきり頭を叩かれた。脳細胞が死滅するじゃないの! 「そ、そうだったの、お父さん!!」 し・真剣な顔でソフィアが乗ってくれた…!くぅ 優しい、優しいよソフィア!…感激ッ! 「す・すまない。どうやらそのようだ…」 「ありえねぇだろ!何のってやがんだ!」 「やめてください!生まれたらどうするんですか!!」 「ソフィアのいうとおりよ!神田…! お父さんの中には…もうひとつの命が宿っているのよ!?」 「テメェ…!」 「信じて待ちましょう!お父さんの安産を…ね?ユウちゃん!」 ブチッ 「刻むぞ!!!」 六幻取り出した神田は私に向けてくる!やだー!一家団らんごっこだったのよ!? 「は、はは、本当は足が痛んでね、先に休ませて貰うよ」 「大丈夫?」 「あぁ、平気さ。それでは、お先に…」 店主は頭を下げて、奥へと消えていった。 ソフィアは困ったような顔をして、こちらに向き直った。 「魔女ですか…そんな大昔の伝説をまだもっともらしく話す老人が多いんですよね。 以前偏屈なおばあさんが村はずれの小屋に住んでましたけど…、普通の方でしたよ?」 「そんな人も居たんだー……」 私はチラリとゴズを見る…。 おい、ゴズ。お前…汚らしいって、さっきから!皿をなめるな! そんな様子を見た神田はため息を深くつき、ソフィアは爆笑! 「あ、あぁ!すいません!思わず…」 「行儀悪いよ、さっきから!」 「いいんですよ、気になさらないで下さい!量が少なすぎましたよね…」 「そんなことないよー!ね?ゴズ」 「は、はい!」 といいつつも、ゴズ…腹の虫が聞こえる; 「ふふ、ちょっと待っていてください」 そういって台所に向かったソフィア。戻ってきた時には手に白い袋を持っている。 「ゼリービーンズです。大人の男性にあげるようなものじゃないですけど」 「うわー!嬉しいです!俺、お菓子大好きなんですよ!ありがとうございます! このご恩は末代まで語らせていきます!」 ゴズの子孫…居たらそれはそれで怖い。 「単純な奴だ…」 「全くだね;」 「お前もな」 「う…」 神田にそういわれて、言い返せない自分が悔しいです。 チクショウ!神田だって、馬鹿の癖に!この!! 「じゃあそろそろ、2階のお部屋で休ませてもらいますね!」 「あぁ、どうぞ!お構いなく」 「あ、ソフィア!さっきから聞きたかったんだけど…お母さんは?」 私がそう訊ねると、ふっと目を伏せた。そこから分かる状況。 「あ、…ゴメン。」 「ううん!いいの、3年前に…亡くなったわ」 「本当にゴメンね」 「…、気にしないで、ね?さぁ、疲れたのでしょう?しっかり休んで!」 おやすみなさい、といってゴズは2階へとあがっていく。 私は食べてまた眠っているであろう黒姫を神田に渡す。 「私、片付けの手伝いをしてくるから」 「…」 「何よ、出来たらソフィアの部屋で寝かしてもらうもん!」 ソフィアになら襲われる心配ないもんね! 「神田?」 「嫌な予感がする、だけだ」 「やだ、神田ー!きっと教団でリナリーが黒魔術使ってんだって」 「言うな!考えただけで寒気がする…ッ!」 それだけいって、身を返し階段を上っていった。 私は台所に行き、ソフィアの手伝いをした。 「ありがとう、」 「いーの!気にしないで〜!私さ、ここにきてから女の子の友達って少なかったから…」 「ここに?」 「う、うん。教団に入ってから、ソフィアは二人目なんだー!」 「ふふっ、じゃあ光栄ね!」 笑いながら食器を洗っていくソフィア。 華奢な白い手は慣れた手つきで洗っていく。 「ずっとこうやって1人で?」 「うん、父さんは足を悪くしちゃったし…1人よ」 「そう、大変だねー。寂しくない?」 「え?」 「1人だと、さ」 きょとんとするソフィア。だけど途端その顔は、フワリとした笑顔になった。 「大丈夫、1人じゃないわ…うん、1人じゃ」 それはまるで言い聞かせてるみたいで…なんだか痛々しく思えた。 「1人じゃない、お父さんも居るし…村人だって! お母さんもちゃんと見守っててくれてるよ!私も…友達さ!」 こーんな天使みたいなこと友達になれるんなら極楽ですがな! 「ありがとう…」 「いーえいえ!」 1人じゃないよ、ソフィア。大丈夫。 皿を洗い終わった私は階段を上がって…戻りたくないが部屋に戻ることに。 そりゃ、ソフィアに頼んだよ?頼んだんだけど… 部屋が狭くて、2人はちょっと厳しいって言われちゃったー! チクショウッ! 「しつれーしまーす」 「あぁさぁん!」 ゴズがにこやかに毛布を持っている、 「さんも床でいいですかー?神田さんがどーしてもベッドがいいそうなんで!」 「………あのね、ゴズ。I am a girl.おーけー?」 「分かってますよー!あぁもう、床でいいんですよね♪」 「だから!」 「あ、もしかして神田さんと一緒に寝たいんですか」 「おい、ゴズ…今から三枚に下ろしてやろうか?」 神田がゆらりと立ち上がって六幻を構えてます。 おいおい、ゴズの口から泡でそうになってるって…! 「そうだよ、ゴズ。神田は1人がいいんだよ?1匹狼…つーか黒猫なんだから」 「ネコ、ですか?」 「うん。あ、神田!黒姫ありがとう。 私はソフィアに頼んでさ、そのソ、ソフィアの部屋で寝るから!」 「いいですねー!女の子と同士、そっちのほうがいいですよ!」 「う、うん!そーだよねー!」 アハハハ…ハ ウソ、ついちまった 「それはそうと、さん…!俺命がけで調査に来たのに、ここの奇怪現象はイノセンスノせいじゃなさそうです」 「がっかりだねぇ」 「『帰らずの森』といのは、イノセンスの起こす奇怪ではなく、アクマが人を襲っていたんでしょう?」 「おそらくな」 落ち着いた神田がそう答えた。 「アクマは村に入ってきていないようだし、イノセンスは絡んでいないようだ」 「魔女はどうなんでしょう?」 まだ、魔女説を引っ張るか!お子様だね、脳内! 「アホ、魔女はいねぇ」 神田がギロリ、とゴズを睨むと…おずおずと首をすくめてしまった。 あぁ、亀が甲羅に入るシーンみたい。 「どうします?イノセンスは無いようですけど…」 「私達の任務は、あなた達を探すことだったんだよ。 でも、アクマはいたんだよねぇ」 私は判断を神田に任せることにした。 私とゴズは、じっと神田を見る。 「アクマは複数いた。まだこの村やこの付近に潜んでいる可能性がある。全員倒してから帰還する」 そう神田が言った瞬間、ゴズの表情に少しだけ、きりっとした。 「わかりました。では、任務はイノセンスの調査から、アクマ退治に変更ですね」 「そういうこと!」 「あの…役に立たないかもしれませんが、俺も一緒に行ってもいいですか?」 ゴズが真っ直ぐ、神田と私を見つめている。ゴズの青い目は、すごく、しっかりとした瞳。 ゴズは、役立たずなんかじゃない! 「ゴズ、いいんだよ。役立たずなんかじゃないさ! 私だって、イノセンスのシンクロ率めっちゃ低いし、神田に守られてばかりだもん。 私のほうが役立たずなんだからさ!ね?」 目の前で仲間を殺されたゴズ、悔しいわけが無い。 「1人でお前を帰すわけにもいかねぇ。かまわんが…足手まといにならないようにしろよ」 「ッ、ありがとうございます!」 神田も分かってる。ゴズがどういう思いなのか…きっと。 いつもぶっきら棒で短気で馬鹿な神田でも…。 「じゃあ!明日は他の村人の話を聞きに行きましょう!」 「おー!!」 「お前ら…もう少し声を小さくしろ!」 「「すいませーん!」」 夜は既に遅くなっている。 いい加減休みたいもので…ゴズもうとうとしだした。 さぁ、どうしよう寝床の確保。 「じゃぁ、俺は寝ます」 「…」 「そ、そうだよねー、疲れたし、ね?わ、私もソフィアのところに行くねー!」 じゃあ!といって神田たちの部屋を外に出た。 神田が私を見ていたような気がするけど…こうなりゃヤケ どうやって乗りきる!? あぁ頼むから黒姫、私を護衛してクダサイ。。。 |