声が聞こえた瞬間、自然と足が速まった。

急がないといけない気がした。

そして、俺は守った…。笑って「ありがと」と言われた瞬間…。

何故か、鼓動が早くなっていた。



今、目の前で倒れるコイツ。

いつの間にか俺は必死に名前を呼んでいた。


!!」





変態づくし



こんにちは!人気コーナー、「今までのOSARAI」いってみよー!

訳の分からない世界から変態(以下略)クロスに召喚☆された私は
神田に助けられて、イノセンスをゲット!ということで、本部に向かうことになったんですが…
謎の風雲児(?)ウサギ野郎もとい、ラビが登場!見覚えがあった!
そのラビから神田の名前まで聞き出してしまい、弱みをゲット!(パート2)
さらに、私の銅の槍が剥げて行ったと思えば、槍は銀色になり、その銅からは…


クロスの使い魔ゴーレム「血塗れトンカチ二世」が生まれました。


噛まれに噛まれましたが、とりあえずゲット!(不本意ながら)


やっとたどり着いた本部で、ウサギ野郎のイノセンスでひとっ飛び☆空中散歩ですか?
んな気持ちいいものじゃなかった上に、「アウトォォォオ!!」と叫ばれちゃいました!
空からはロボット“コムリン”登場!要らん!お呼びじゃない!!
ひたすらコムリンは私を追いかけてきます!ゴーレムの活躍もあったが絶体絶命!
そんなピンチを救ってくれたのはまたもやパッツン男児、神田。

安心感ゆえに…私は気絶してしまった訳なんですが…




「はて、ここは何処じゃらほい」



目が覚めれば、よく分からない部屋。
ちょっと鼻を掠める薬品の匂いが、妙に落ち着いた。

そう、私は気絶して…



ッ!?』



神田、初めて私の名前呼んでたような…?なんだか嬉しい。


あれからどれくらい経ったのかな?1時間ぐらい?あまり寝てない感じがするし…


ふと見渡せば…、人が誰もいない…と、思えば。




のぐわァァアアア!!!?


ゴーレム、“血塗れトンカチ二世”はそばにいて、牙をむいていました。
おんどれ、わいの存在忘れてたんかい?ア!?
と、言ってるかのごとく。申し訳ありませんデシタ…


「おい!?」


扉を勢い良く開けて飛び込んできたのは



「か・神田!?」


神田でした。なんだ、私のピンチには良く現れるじゃないの!


「大丈夫よ、ゴーレムに噛まれそうになっただけ!」

「…そうかよ……、」

「何か言いたげね、何?」

「もういいのか」

「あぁ、…そか、やっぱ神田が助けてくれたんだ。うん、もうヘーキ、ありがと」


またお礼を言えば、神田は頬を染めそっぽ向いた。
ヤダ、照れちゃって☆か わ い いvやっぱ神田はツンデレっすね!
お礼を言われることに慣れてないのかな?ウン

それより、思うことをぶちまけてみよう。



「神田ってさ、スーパーマンみたいだよね」

「は?スーパー…?」

「ほら、ヒロインが『きゃぁー!助けてぇー!』と可愛い声で叫べば
 遠い空の彼方から、謎のスーツに身を包んだ男が―…とまぁ、詳しい説明はおいといて
 とにかく、ピンチになると現れて助けてくれたでしょう?」

「ああ!?」

「えぇ!?だって、あのアクマの時は傍にいたからであっても
 コムリンとか、さっきのは傍にいなかったじゃん!…神田もしかして…」


私は神田の目を見つめると、神田の顔は引きつってる。
図星か…!図星なのか!




「最新型の人救いロボット機能搭載!?」


「ふざけんな、馬鹿女!」



どうやら違った模様です、ママン!
だって、どこからでもかけつけるあたり、人の叫び声を感知してそーじゃん!



「コムイの作ったロボットの時は、お前があのアホについて行っただろ!
 厄介なことになってると予想して行けば案の定、…であの場にたまたま居合わせただけだ!
 それと、さっきのは!こ・コムイが目が覚めたかどうか確認して来いとかぬかすからで!」

「ほへぇ、神田でも厄介事を頼まれるものなんだ!」



ちょっと意外です。
頼んだら「自分でやれ」とか言って、スタスタ歩いていきそうじゃない?



ッッッ!と、とにかくだ!お前――…」

さっきからお前お前と…神田の口から1回しか聞いてないぞ!」

「俺がいつ言った!?」

気絶する寸前、聞こえたもん

「…!!!」



またも、顔を紅に染めおりました。なぜそこで頬を染めるのですか、少年K。



「とーにかく!これから“お前”ばっかりで呼ぶなら…
 あの銀の槍で地球の裏側まで突き飛ばす勢いで殴るか、
 そこのゴーレム噛み付かせるわよ!?
 さぁー、私の名前は何だったかなぁ〜神田君!?」

「…

「声が小さい!さぁ、レッツトライ、アゲイン!」







おわっ!?ん、んなケンカ腰に言わなくても…;まぁヨシ;
 本題に戻って―、私がなんだって?」



神田は一度そっぽ向けた顔を戻した。アラ、大分落ち着いてらっしゃる…。



「コムイが、一度部屋に来いだと…」

「そっか、じゃぁ行かないと―…って、コラ血塗れトンカチ!槍を噛むな槍を!!」

「…うるせェ女、さっさと行くぞ!」

「はーいはい!」








コムイさんの部屋の3分の2は書類の山で埋め尽くされていた。
その山の中から、人がずらりと並んで見えた…幻覚かなぁ…



室長〜これにもハンコ〜

サボらないでくださいよー…



大丈夫か!?顔が死んでいます!



「いつものことだ、気にすんな」

「へ!?いつもとか…うわー絶対死ぬよ、過労死しちゃうよー」

「「「「コムイ室長〜…」」」」



さっきのコムリン事件といい、これといい、一体どんなキャラなんだ、コムイよ



と、隣を見ればいつの間にか神田は前に進んでいた。


「おい、コムイ。連れてきた、俺はもう行くからな!」


何故そんなキレ気味に答えるの…ツレナイなぁ…!悲しいッ!
…ちょっと、みんな?今固まったでしょう?固まったわね!?



来た来た!新しいエクソシスト!しかも、女の子のー!


書類の山から、めっちゃイキイキした人でてきたよー!
この人が、コムイさん。。。なんだろう、日本人っぽいけど、中国人…だよね。
名前もそうだし、雰囲気も。誰かと似てるような気もするけど…



「はいどーもぉ。科学班室長のコムイ・リーです!話は聞いているよ。ちゃん
 さっきはごめんねー、リーバー班長と神田く―「「アンタの所為だ!!!」」
 とまぁ、意気盛んな皆だけど、大丈夫だよ♪怖くない怖くない」

私はあなたが怖いです

「アハハ、そのうち慣れるよ」



慣れてたまるか。
とりあえず、コムイさんは相当の変人であると見た。



ちゃん、君のイノセンスを見せてくれるかな?」

「イノセンス…あぁ、この槍ですか?」

「うん、コッチコッチー!そう、神田君!暇なら仕事手伝ってあげてね〜♪」

は!?なんで俺が―」

「「「「「「ワァァアアアーーー!!有難うエクソシスト様ァ!!」」」」」」

ッッ!!っざけんな!コムイ!テメェ!!!」



そんな神田の嘆き、叫びを背に…
なんだか手術室のようなところに出た。
私は、診察台のようなところに槍をおいた。


「あ、そういえばゴーレムがいない…」


頭に重さを感じないと思えば、ゴーレムがいない。
ま・まさか…科学室におきっぱなし…。きっと大丈夫、だよね!?ね!?


「フムフム、ちゃん。これ、発動したことある?」

「まさか、発動をどうやってすればいいのかも分かりません」

「うーん…、どんなイノセンスなのか…ヘブ君に調べてもらわないとねぇ」

「ヘブ君?」

「それは追々、と♪だけど、一度ぐらい発動はしないと…」



シンクロしていないと、調べようにないからね。
そういうコムイさん、何を調べると言うのかね、君…。



「でも、どうやって発動するんですか?」

「ソレは―僕には分からないよ、エクソシストに聞かないと!
 ってことで、神田君に聞こうと思ったけど…手が空いてないみたいだし」




それなら、俺がひきうけるさー







いつの間にか、機材がおいてあるところから

ひょっこり、顔を出している、バンダナ頭が☆







「「どっから入ってきたの!?」」



というより、アンタ何処行ってたのよ!
こっちがコムリンで大変だった時に…コンチクショウ!

その文句を言おうとしたけど、先にラビの口が開いた。



エクソシスト歴…謎に包まれ、それでも俺はブックマンを継ぐもの…ま・俺に任せい!」

「ら・ラビ、いいの?」

「といってもアドバイスだけさ!実践で学べ。以上!」






は?



は!?


適当だなおい!!

「だってそういうもんさー、イノセンスなんて。人それぞれ…さ」

「ラビ君はどうやって?」

「んー…覚えてないさ☆



そういった瞬間、槍で本日二度目、殴っちゃいました。



「秘技、『重力による二重鉄槌』

ソレは反則さァ…



ラビは白目向いて地に伏せております。
勝手に作ってみました、重力と槍の性質を利用した有る意味技です。

今までの私の苦労と、ふざけおった分じゃボケ


「それは一理あるけど…、アクマと実際やりあったら危険だ…」


コムイさん、今凄い真剣な顔だ…。


「とりあえず、その事はまた明日にしよう。夕飯まだ?だったらボクと――」


し〜つ〜ちょ〜…!!



フラフラと、部屋に入ってきたのは…、



「あ、リーバー班長!丁度いいところに☆ボクこれから」

何言ってるんスか!仕事してくださいよ!


リーバーさん。
なるほど、この人が…って、またこの人も顔死んでるって



「あの、コムイさん。仕事しましょう?」

「えぇ!でもでも!ボク、ちゃんと一緒に行かなきゃ!」

「俺が一緒に行くから問題ないさー!さ、行こー」

「へーい!ラビ、復活するの早いね



外に出ると、神田がいた。
じっと私とラビを見て、深くため息つきやがりました。


「アレ、神田?」

「遅ェ」

「待ってくれとは言ってなかったさー」

「ラビ!?テメェいつの間に!」



そうです、彼はいつの間にやら現れた。驚きです。



「…チッ」

「神田はずっと仕事手伝ってたの?」

「俺がそんな馬鹿げたことする訳無ェだろうが」



今、科学班のみんなの心の叫びが聞こえたマシタ。


あんなに忙しいのはコムイさんの所為だ。あの変人の所為だ!
なんだ、黒の教団はやっぱり変人とか変態とか…特殊な人間揃ってらー…。

ついでに言えば、馬鹿も多い。チラッと隣の男二人を見れば…頷けるでしょ?



「…何だよ」「何さー

「なーんでもない!あぁ、お腹すいた〜!ご飯、何処で食べるの?」



だいぶ歩いた先に、
食堂があった。白衣の科学班の人たちのほかに
白い服の人がたくさん…、というか、黒い人いなくない?



「あの、白い服の人もエクソシスト?」

「違うさ、奴等は探索部隊」

「ふぁいんだー…、なんかバインダーみたい」



ふと紙が挟まってるイメージが浮かぶ…違うだろ、私!

話を聞くに探索部隊の人たちは、エクソシストとは違い、悪魔は退治できない。
だけど、イノセンスがあると思われるところに赴き、調査したり
エクソシストのサポートをするのが仕事だそうで…。

なんだか、神田をサポートする人の悲しい顔が浮かぶや…あはは。


「で、ご飯は何処!?

「色気より食気…、あ、ヤメテ!

「いや何もしないから。槍がなけりゃなーんも出来ない!
 さぁ、それより――って、神田早ッ


神田はさっさと注文を済ませ、手には蕎麦がのったお盆。


「…蕎麦?」

「悪ぃか」

「いんや、蕎麦はおいしいと思う。とろろかけるとさらに!
 あーでも、てんぷらついててもいいかもー、でも私蕎麦は頼まないからね☆

だからなんだ…アホ女…


神田は踵を返して、さっさと席に座った。
一方のラビは私を呼んで、手招きしていた。


「此処で注文するさ♪ジェリーちゃんっ」

「んまー!?新入りさん?可愛い子が入ったわね!」

「あ、ドウモ」


ペコリ、と頭を下げる…で、上げた瞬間、


ジェリーさんは恐ろしくも包丁を持って笑ってらっしゃいます。


「ふふふ、料理の材料にしちゃいたいぐらい、可愛い子だわ
 どこから調理しちゃおうかしら、足?手?んーやっぱ顔ね…v
 だけど、こーんな可愛い子を、野郎共の前に出すなんてもったいないわ…
 ここはやっぱり、野郎どもを生ごみと化してから―…
、さぁ何食べる!?」

「ラビ!ラビィ!!私殺されちゃうよ!料理されちゃうよォォお!



怖いよ!怖い怖い怖い!!!



「ま・気にすんな☆」

「気になる!じゃあ、とりあえず…メニューとかは…?」

「アタシは何でも作っちゃうわよ?お望みならばそこのウサギちゃんとか…

「(ヒィ!)じゃ、じゃぁ『リゾット』と『サラダ』、あとお水下さい!」

「ふふッ、分かったわ!デザートなんかつけとくわv」



ジェリーさんは厨房に戻って、手に持った包丁で料理し始めた。

どうやらジェリーさんも変人・変態だった模様です、大丈夫か、ここ!?


出来たてのリゾットとサラダ、デザートには小さなケーキ。
それをもって、席についた。


「いただきまーす!………うまッ!何ー!一流シェフの味!?」

「ジェリーちゃんの腕前はピカイチなんさ!」

「このリゾット…ヤベェ、食材何使ってるの!?美味し過ぎー!!!

、すごく幸せそうさ」




そういうラビは、何も食べないのだろうか…水オンリー。



「ラビは?食べないの」

美味しそうに食べてる見てるだけでお腹いっぱいさ☆

あまーーーーーーーーーーーーい!!!甘いよ、甘いよラビさん!」

「アハ、甘かった?」

「(現代ネタ、いけた!有難うスピードワ○ン!!)」



ひとつガッツポーズ!美味しく頂きました!料理もネタも!




ふっと神田がいたはずの方向を見れば、いつの間にか神田はいなかった。
食べるの早いね!いや、私が遅かったのか!?…ま、いっか☆







翌日…



い!?これ、着るん、ですか!?」

「そう!これを着て、初めてエクソシストになるんだよ〜!さ、早く早くv」



コムイさんに呼ばれていってみれば、手渡されたのは…団服だったんだけど



めっちゃミニじゃないですか!?



予想外、ミニスカです。しかもヒラヒラしてます。動きやすさ重視なんだろうケド…
これは見えてしまうと思うのは私だけでしょうか?…止めて下さい、マジでやめて!


「駄目だよー折角昨日徹夜で、サイズはかって作ったのにーv」

待て、いつサイズ測った!?」

「………、夜忍び込んで?



聞くな。というより、忍び込むんじゃない。
ここ、ほんま危ないぞ。いくら私が女らしくないからといえども…プライバシーは存在している!



こんのッド変態ッが!!

「やだ、ちゃん。ボクの知的好奇心を満たしてくれたっていいじゃないか!
 ボクの調査によるとーふむふむ、若干バストが貧し…

もーやだ!コイツやだよぉおお!!




私は団服かっぱらって、さっさと着替えた。
着てみれば、確かに…動きやすいし、丈夫そう。
ただ、やっぱミニは…ミニスカだけは、勘弁してください。後生です。

膝から下にかけては、黒いブーツ。動きやすいし、ちょっと可愛いかも。でもミニスカ…



「スッパツタイプにする?」


そういってコムイが取り出したのは、黒いスパッツ!そっちの方がいい!



「そっちがいい!」

ダメー♪


そういって炎の中に投げ入れ燃やしやがりました。
…鬼か、鬼なのか貴様。


「うんうん、良く似合ってるよ!」

いつか絶対復讐してやる…!

「さてさて、ちゃん!チョットついていて〜。あ・槍持ってきてね?」



私は昨日の部屋に置きっぱなしの槍を持って外に出ようとした…ら。



「おーい、!忘れもんだ!危険だぞ、コイツ!

リーバーさんに呼び止められ、ポイッと投げつけられたものを
キャッチしようとした…ら、あーら不思議!

綺麗に輝く尖った歯がお目見え!



血塗れェエ!?



ゴーレムです。昨日ずっと行方不明だと思ったらやっぱ科学班にお邪魔してたか。
お前、何を食ってきた。人か?人なのか!!?


私の髪をむしゃむしゃと食べるのを防ぎつつ、私は頭に乗せておいた。


「ご・ご迷惑をおかけしました…」

「いや、人を噛みそうにはなったが、なんとか取り押さえておいたから大丈夫だ」

「有難うございました!」


私は部屋を出て、早くコムイさんに追いつくために走った。


コムイさんと一緒に向かった先は、地下の奥深い場所。
でも、凄く広いわりに何もない…無機質な場所。



「…ここ、なんですか?」

ちゃーん、昨日のラビ君のアドバイスから、ボク思ったんだよねー」

「はい?」


なんか、酷くいやな予感…。


「実践で学ぶ、それは確かだよ。
 だけどアクマと戦わせるわけには行かない!つ・ま・り!!」


ヤベェ、なんか地響きしてきてる。なんか来る!これは絶対危ない!!



やっぱコムリンでしょー!!




キターーーーー!!!!

予感的中!コムイさんの愛するコムリン!しかも昨日から直されてるよ!
あちこちボロボロの癖に、何気に動いちゃってる!!

コムイさんは安全地帯に逃げてる!!!



「頑張ってね♪」

頑張れるかァ!!!死んじゃうって!!」




悲しいけど…ソレを乗り越え、ボクは生きる!
 ってことでぇ、コムリン行ってみよー!!!

「屍超えて生きる気か、貴様!!…ッ」


コムリンは容赦なく、私に迫ってきては襲ってくる。
昨日の悪夢の再来だ…、こうなりゃ編み出したあの技で!!


『重力による二重鉄槌』!!!!


それで襲ってきたコムリンの頭をベコッ凹とさせて、みたけど…


除外除外除外ィィィィイ


奴はすでにイカれてて、全然くらいませーん!!!どないするよ!
必殺の血塗れゴーレム使うか!?だけど、それも意味がなさそう…


第一これは、イノセンスをどうにかする訓練のはず!なのに殺されかけてるよ私!



「ッッ誰か!!」

『残念だけど、神田君は来ないよー、昨日の夜からロンドンへの任務だからね
 ラビ君は、これに賛成してくれたよ。快くネv』

昨日の復讐かい…あんのウサギ!


もう、誰も、助けては、くれないんだ…


私はコムリンに向き直る…けど、
勢い良く迫ってくる相手にはとても太刀打ちできそうにありません


いっそ、ここでくらって…気絶してみようか。
そしたら元の世界戻れるかな、誰か助けてくれるかな。




「ッなんで避けねぇ!」





あぁ、神田の声。初めてあってアクマに襲われた時だ…私なんて答えた。
避けられないだろう、って思ってたんだ。





「死にてぇのか!!」




死にたくないに、決まってる。




最初コムリンに襲われた時、私は無我夢中で槍を振り下ろした。
あの時、私は諦めなかった。『死にたく無かった』

だったら、今だって。



どうして私が適合者なのか。


なんでこの世界に呼ばれてしまったのか。


どうやったら元に戻れるのか…。



たくさん、たくさん、分からない事はあるけれど




私は…ここにいる。ここにいて、生きているんだ。




諦めること、しちゃいけないんだよ…生きたいなら!




その時、手が…ううん、槍が熱くなった気がした。





自然と、声が脳に響く。。。




―――わたしの力を必要としているのね



うん、力を貸してくれる?イノセンス



―――わたしは…7つの龍が集まっていて1つなの



どういうこと?



―――ゆっくり分かっていけばいいわ。そのうちイヤでも受け入れてもらうわ



「アンタ……鬼か」



―――わたしの名前…それは――…



「…『神空』…




体は勝手に動く。


槍の先に自分の指先を当てて、少しだけ傷をつけた。


槍先には私の血が少しだけ、つく。でも、これで十分なの。


脳に響く、私ではない声。それを復唱する。



「一龍『銀』、護ノ銀!!!



その瞬間、私の前には銀色の壁が出来た。壁が、コムリンの攻撃を防ぐ。



「…え、…発動出来ちゃった!


あまりにも無意識だったから、ちょっと驚き!
ラビが言ってたこと、「覚えてない」…頷けちゃうよ。






ちゃん!発動できたみたいだねぇーオメデトウ!
 コムリン、もう止めてあるから、大丈夫だよ。発動を解いてー』

「…分かりました」



―――まだ、わたししか使えないけど十分でしょう?わたしは、最初からいたんだけどね。
気付いてなかったでしょ?馬鹿ね。すでにあなたは、発動していたの。
最初から銀の槍だったのは、わたしが発動していたからよ。わたしが原型の『銀』
最も基本で、あなたがいればいつでも発動できる。あなたの中のさえあればね…



…なんで血なの!?



―――鉄分よ。銀とは言えど、銀色の物質なだけで…鉄・鋼・アルミ…たくさんあるわ。
まぁ、今は解きなさい。詳しくは、そのうちね



そういって、銀は解かれた。


って、


「槍じゃない!!!」



私の手に落ちてきたのは、小さな棒状になった銀色の棒。
そうか、発動してたって…こういうことなんだ。


どうりで、疲れちゃってた訳だ、私。


ちゃん!!!」

「あ、コムイさん!」

コムリンは無事かい!?


そこか、そこなのかアンタ!



「…コムイさん…

「親心だよ〜分かってちゃん!さ、疲れただろう?あとすこしだよー!」

「…はい?」



このとき、
「コムイさんに素直に従っておくんじゃなかった!」
と後悔することになるなんて思わなかった。