死ぬか、生きるか。
そんな世界に生きてる俺達にとって
お前のような考えはただ甘い。
お前はそういう人間だが、物分りはいい方だ。
犠牲の上に救いがあると分かってくれるだろう。
だが、甘かった。甘かったのは俺か?
大嫌いだ!ツンデレだって信じてたのに!
えー…あーあーマイクのテスト中。さー早速行きましょう!おさらいのコーナー!
リナリーの参上に神田とアレンの戦いは沈められ、中に無事に入ることの出来た私たち。
神田は寂しさから「お前なんて知らないッ!」なんて乙女チックな――ゲフッ
いやはや、心底アレンを嫌いになったらしい神田は、不機嫌まるだし。
私はそれを追いかけました。
ムー●ンを知らない神田の部屋にたどり着いて、ツンデレ+甘えんぼという事が発覚した神田っち☆
そして、怪我が悪化しただろう神田の肉体――ブフォァ!
えー怪我を!怪我を見ようと押し倒しました。か、神田が乙女になった瞬間…!
神田は恥らいつつ、私が四次元ポケットから取り出した包帯を器用に巻いていった。
さぁ、ここで私の今後について聞いたんですが…ここで思い出した。
女王リナリーが地獄化しつつある食堂で待ってる…!
やべぇ!このままじゃ教団の人たちが餌食に!生贄に!
私は神田より早く走って向かう。
でも案の定、華々しいリナリーと、永久凍土に佇む教団の人々が。
笑顔でスパイスを加えたというリナリーに、こっちまで寒気しましたよ。
そんな調味料、いらない。欲しくない…!
神田もやってきて、私は食にありつく。
そこでリナリーにシンクロ率についてのアドバイスを聞く。
やっぱトレーニングするしかないのかぁ…。
ま、自分なりに頑張ろう。うん、自分なりに!(The☆適当)
さー、永久凍土なんてかわいそうなのでそろそろ春を運ぶ為に、私はリナリーと食堂を出た。
もちろん、人々(神田含めて)の表情が春の陽気な気分にやられてしまったように明るくなった。
そんなこんなで一晩を越しまして。
私は寒気で目が覚めた。
「うーあー、何でこうも目覚めが悪いのさー」
すっごく寒いんだけど、まぁ元からこういう部屋だしねぇ;
ハッ!まさかこの寒さ、黒姫の怨念…?
――おんどれ、また存在忘れ取ったからに…覚悟せぇや?
なんて、思ってたり!?うわーありえる!ありえるから怖い!
頼むアレン君!ティムでなんとかしておいてっ!
とかいいつつ、寒さの原因は布団がずり落ちていたからであって。
窓から見える太陽が少しだけ眩しい。
まだ出たばかりなんだろうなぁ、キラキラした朝日。
ここは高い場所だから、すごく景色よく見えるんだよねー。
「さて、と」
私は団服に着替えて、首から『神空』をかけて準備万端!
「おなか空いたー、食堂行こう!」
私は軽い足取りで食堂に向かった。
朝でも食堂はかなりの人が居た。
エクソシストや科学班は居ない…けど、探索部隊かな?
白い服を着た人たちが大半の机を埋め尽くしている。
さて、私も何か食べようかな!
そう思ってジェリーさんのところに行こうとしたとき、目の前に見たことのある影。
というか気配?
でも待って、待って待って!
「あのー、もしかして」
呼びかけた私に、ゆっくりゆっくり振り返ったその顔は…!
「あ、さ…ん?」
「あ、アレーーーン!?」
アレンだ!やっぱりアレンだ!
すっごくゲッソリして、太陽の光浴びたら消えちゃいそうなぐらい弱ってるけどアレンだ!
うわー、予想通りというかなんと言うか…あの、やっぱり黒きお嬢に?
「リナリーに、何か…」
「ふふ、ふふふふ、もう今の僕は、何も怖いものなんて…フフフ」
「キャー!」
アレンが遠く見ちゃったよ!何したんだ、リナリー!
呟くようなアレンの声から聞き取れたのはリナリーとコムイさんの名前。
リー兄妹にやられたことが判明だ。
うっわー、最強最悪のコンビだね。加えてリナリー不機嫌丸出しだったろうし。
だから食堂は永久凍土に化しそうだったんだしね!
怖いっす!コムイさんも、リナリーも!
「アレン、話は聞いてあげるからとりあえずご飯!ご飯食べて元気だそう!」
「そうです、ね…」
アレンは未だ、この世の終わりのような顔でふらふらとジェリーさんのところへ。
「あら、!オハヨv今日も素敵に可愛いわァ!」
「おはようです、ジェリーさん。私Bセットで…」
アレンどうする?と聞くと、アレンはすっと顔をジェリーさんに向ける。
「アラん!?新入りさん?んまーこれはまた食べちゃいたいぐらいカワイイ子が入ったわねー!」
あなた、守備範囲は男女と問わずかい。
アレンはぎらぎらと変なオーラ纏わせているジェリーさんに戸惑いつ自己紹介。
「アレン、ジェリーさんは何でも作ってくれるから好きなもの、頼みなよ!」
「何でも…ですか。それじゃあ…」
アレンは息を吸い…
「グラタンとポテトとドライカレーとマーボー豆腐とビーフシチューとミートパイと
カルパッチョとナシゴレンとチキンにポテトサラダとスコーンとクッパにトムヤンクンに
ライス。あとデザートにマンゴープリンとみたらし団子20本」
「食べ盛り…ってヲイ!食いすぎだろ朝っぱらから!」
腹壊すよ!?
私の突っ込みも虚しく、加えて量多めでとぬかすアレン。
奴の胃袋はブラックホールなんだろうか…見てみたいかも。
「アレン、よく食べるね」
「はい。なんだか、お腹がすぐ空くんです。イノセンスの所為でしょうか」
「あー寄生型だもんねぇ。そりゃ他人より力使うだろうけど」
それでも食いすぎでしょ。朝っぱらから、それもそこそこ胃もたれしそうなものばっか。
え、そうですか?僕はそう思いませんが?
けろりと言うアレンに、こっちが胃もたれ起こしそうだ。
「そだ、アレン。黒姫ってどうした?」
「コッキ…ああ!貴女のゴーレムですね。ちょっと待ってください…」
アレンはポケットから黒姫を取り出した。
黒姫は大人しく眠っている。んー、なんかさ気力ないよ。
「ティムがどこかに行ったきり戻ってこないので、つまらなさそうにしてました」
「そっかー久々の再会だったかもしれないもんねぇ」
私はアレンから黒姫を預かり、じっと黒姫を見た。
すると少し身じろいで、浮かび上がった。
「お、お目覚め?」
するとゆっくり私の頭の上に収まり…
ガジッ!
噛み付きたがりましたヨ!
「痛ったぁぁぁぁああああ!くぉら黒姫ェ!お前のコミュニケーションは噛み付きなのさ!
あれか!愛情表現の裏返しって奴か!コンニャロウ!」
私がそう叫んでも、知ったこっちゃないとつっけんどんの黒姫。
そんな私を見てアレンは苦笑してる。苦笑するところじゃないぜ、アレンよ!
でも一回噛み付いたきり、頭の上に大人しく座っている黒姫。
多分さっきの噛み付きは『何起こしてくれとるんじゃボケェ』的なものだったのかな。
やぁね、黒の教団って黒い人ばっかで。
「はい、。Bセットおまちどーん」
「あ、ありがと――」
私がお礼を言おうとした時…
「何だとコラァ!!!」
すごい怒号が、私たちの後ろから聞こえてきた。
くっそ、朝っぱらから叫びやがって!(いや、私も叫んで怒鳴り散らしたけどネv)
私とアレンは気になって振り返った。
「もういっぺん言って見やがれああっ!?」
「おい!やめろバズ!」
あの人…探索部隊の人かな。
誰かに向かって起こっているようだ。目には涙、怒りつつ泣いている。
ど、どうしたんだろ…。
「うるせーな」
ここで、聞きなれた声が私の耳に響いた。
姿は微かにしか見えない。でも、白の中に紛れている黒は、目立って見える。
不機嫌そうな…この声の主。
ちょこっとだけ黒姫も反応したみたいで、ふわっと浮き上がって私の周りをゆっくり旋回する。
「神田…」
「ですね、この声」
アレンの顔が、複雑そうだ。
そりゃ、昨日の一件がありますからねぇ。
罪も無く、迷える子羊である自分に容赦なく刃を向けた狼。
う、なんか萌えるシチュエーション…羊アレンに狼神田…イイ!
って、そんな妄想は隅っこに置いとけ!!!
「何をやらかしたんだ今度はー」
神田は、多分だけど馴れ合いを好まない。
ゴズの時だってそうだ。素直じゃない、かなり不器用。
それでも…ちゃんと人を思いやってるツンデレさん☆なんだよ。
そうやってメモには書いてあるんだぞー!
「メシ食ってると気に後ろでメソメソ死んだ奴らの追悼されちゃ味がマズくなるんだよ」
聞きたくない言葉。それを神田は平然と吐き出した。
「さん?」
私は歩き出していた。
「テメェ…それが殉職した同志に言うセリフか!!」
言い返す探索部隊の声もちゃんと聞こえてる。
どこか涙声で、怒りと悲しみのこもった声。
「俺達探索部隊は、お前等エクソシストの下で命懸けでサポートしてやってるのに…それを…それを…っ」
人の波を掻き分けて進む。
「メシがマズくなるだと――――!!」
ビュンと、風を切る音が聞こえた。
どっとざわめきが周りに広がっていた。
私がたどり着いたとき…神田は巨体の探索部隊の彼を持ち上げていた。
「『サポートしてやってる』だ?」
口の端をあげてる。
「違げーだろ。サポートしかできねぇんだろ。お前らはイノセンスに選ばれなかったハズレ者だ」
「げふっ」
口からあわを吹き出している彼。
もう…
「死ぬのがイヤなら出てけよ。お前ひとり分の命くらい、いくらでも代わりはいる」
もう、やめろ、馬鹿…!
「でりゃぁあああ!!」
まず私は黒姫を掴んで神田に投げつけた。
それは見事神田の頭に直撃。
そして第2撃、一気に詰め寄った私の攻撃。
バチーン…
乾いた音が食堂に響く。
ざわめきも一気に収まった。
私は神田の頬をひっぱたいた。
もーそりゃ最上級に痛い一撃をお見舞いしてやった。
神田はあっけを取られて、手の力を緩めた。掴まっていた彼はドサリと落ちる。
神田は、ゆっくり私の顔を見て…目を見開いていた。
黒姫がパタパタと飛び回る。そりゃ殺気立ってるけどさ、いまは気にならない。
神田、何で驚くの?まさか私が…
アンタが掴んでいた人のように泣きながら怒ると思わなかった?
「…嫌い」
私は第一声を小さくそういった。
「大嫌い、神田なんて」
本当はそう思ってないよ。でも、でも。
守りたいと思った矢先に
優しい人だと信じた矢先に
聞きたくない言葉だったのに。
「…」
「神田は、命に代わりがあるって思ってるんだね。
じゃあ言っていい?アンジェラやソフィアにも代わりはいたの?彼女達のお父さん、村の人は?
リナリーやラビ、アレン、コムイさん、科学班の人たち……私の命にも、代わりはあるの?」
「そうじゃねぇ!」
「そうじゃないなら、なんでそんなことを人に言えるの!!」
神田はうっと言葉がつまったような顔をする。
「ゴズ…彼は彼なりに一生懸命やったけれど空回りばっかりで、失敗ばかりだったけれど。
それでも一緒に適の罠にはまった神田を呼び覚ましたり、私を助けてくれたりしてくれた。
何よりゴズは、アンタに感謝してたじゃない。そんなゴズの気持ちまで…無駄にするような発言を…」
私はゆっくり、時間をかけて睨み付けた。
「私を失望させるような言葉を…簡単に吐く神田は…大嫌い!」
神田は一瞬だけ、ほんの一瞬だけ瞳を揺らしたがすぐに視線を外した。
「お前が俺を嫌おうとも、すべて事実だぜ?」
「…」
「お前は甘いんだよ、。ここじゃ死ぬってことは当たり前だ」
ッ!!
私はもう一度神田をひっぱたこうと腕を振り上げた。
しかしそれは、第3者の腕によって止められる。
人の肌にしては堅い…これは。
「アレン…」
アレンだった。
アレンは私の腕をゆっくり下ろし、神田に向き直った。
「関係ないとこ悪いですけど、そういう言い方は無いと思いますよ」
「………、うるせぇよ、モヤシ」
モヤ…!
カチンと来たのかアレンは「アレンです」と声色を低くし言った。
「はっ1ヶ月殉職なかったら覚えてやるよ。ここじゃパタパタ――」
その先言おうとした神田は、ふっと言うのをやめた。
私の目を見て…そして逸らした。
もう、いやだ。
「私はアクマを倒せない。それでも守る為にエクソシストになったんだ。
この気持ちは探索部隊の人たちと何も変わらないよ。アクマを倒せない無力さを私は知ってる!
神田は…私の気持ちを知ってくれてると思ってた。少なくとも優しさはあるって…信じてたよ!」
それだけ吐くように言い捨てて、私は食堂を出て行った。
食堂を出て後悔。
「あ、ジェリーさんのBセットまだ食べてない…!」
結局そのまま放置しちゃったよー!!
くぅ、お腹すいてるのに…!ちくしょ!
「あー!!これもあれも神田のせいだぁ!」
完全に切れたぜあたしゃ!くそーーー!!!
遅れて黒姫が飛んでくる。黒姫は何かをくわえていた。
あ、ハンバーガーじゃないか!Bセットについてた!
まさか、私のために持ってきてくれたの黒姫ぇ〜!!
ガブッ、ゴックン。
んなわけないか。
見事に食べかすだけ残して食べやがりましたよ。
さすが黒姫。『誰が貴様にやるか、ボケカス!』
そういわれた気がしたよ、マザー。
もーいいや。完全に頭に血が上ってる。
神田なんて、神田なんて…
「ッ…」
もうこれ以上、嫌いだなんていえなかった。言うだけ虚しくなる。
そんな時、遠くから春色めいた声が聞こえた。
「〜〜〜〜〜!!」
イノセンス発動させて、猪突猛進、ヘタすりゃそれ以上の勢いで迫ってくる女王リナリー!
彼女の顔だけ見てれば爽やかに風が吹いてるだけだが、足は違う。
イノセンスが思いっきり風を巻き込みゴーゴー唸ってるじゃないか。
アカン!今の私はそれを受け止め切れないぜ!どうする!どうする私!
くっ…こうなりゃ!
「ヘイ・カモン!」
両手広げて、さぁこいや!
案の定、リナリーは私の腕の中にダイブ。
私はリナリーのその勢いに思い切り吹き飛ばされて数十メートル飛ばされた。
良かったね、ここが教団1長い通路で!
「うふふふ、おはよう!いい朝ね、会いたかったわ!」
「お、おはよリナリー…。いい朝って?」
うふふふ、という可愛らしいオーラがどんどん色の濃さを増している。
桃色がいまじゃショックピンクだ。
「いい朝じゃない。身の程知らずの長髪パッツン野郎がに見限られたんだから!
今まで散々、我が物顔でを振り回しては『俺がいないと駄目なやつ』とか思わせといて
任務という名の非道・卑猥な行いで、を汚そうとして…!
うふふ、今まで散々奴を痛めつけてきたけど、懲りてなかったみたいだったし…。
と・に・か・く!いざとなりゃ尻尾巻いて逃げ出しやがったわ!おほほほ!」
「逃げ出した…?どういうこと?」
「うふvさっき食堂で、もうひと波乱あったってことよ!は気にしなくていいの!
長髪と白髪の野郎共はナマモノの原形とどめねぇぐらいに葬り去ってやったから☆」
ナマモノの原形って…ソコ!星飛ばすところじゃないって!
というかアレンは完全とばっちりじゃないか、おい!
2日連続の邪気に当たったアレンが心配で仕方がないわッ!
「まぁ、半分八つ当たりなんだけどね☆」
やっぱりかい。八つ当たりって何があったよリナ嬢。
「どーしたの?」
「悲しいお知らせよ…貴女に任務が入ったわ」
任務…?ってことは、神田も一緒…か。
うっわー行きにくい!
話を聞くに、私と神田…そしてアレンも一緒だそうだ。
知っててこの組み合わせにしたのか、コムイさんやい。鬼畜め!
「そんな悲しい顔をしないで!辛いのは私も一緒よ!
大丈夫!後で神田とアレン共々くそ室長葬り去ってやるわ…!見ててね!」
「いや、見たくないんで全力で逃げさせていただきます」
とにかく…
「今すぐに行かなくちゃ行けないんだよね」
「ええ、私も行くから一緒に行きましょ!」
リナリーが言うと『逝きましょ』って聞こえるんだなぁ…。
幻聴だよね、ウン。
司令室に行くと、ぐっすり眠っているコムイさんが。
ゆすっても叩いても蹴っても起きない。此処は一発、黒姫にかじらせてみようかなと思ってた矢先
神田とアレンを連れてきたリーバーさんがやってきた。
ふっと神田と目が合ってしまったがふっと逸らしてしまった。
「室長ー、コムイ室長ー!」
リーバーさんが私のように起こそうとしても、全く起きる気配は無い。
痺れを切らしたリナリーが『いっそ私のイノセンスで…』という危険な発言をしましたので
それは私が丁重にお断りしました。
君がイノセンス発動させれば、教団半壊…もしくはそれ以上だって。
とっておきの方法があると言うリーバーさんに対し、リナリーは断固拒否。
「たかが虫けら一匹起こすのに、私を使ってほしくないわ。
とういうか兄さんの存在が受け付けないって言うのかしら…消えてしまえばいいのにッ」
心の底からそう思ってるのか、リナリーよ!正真正銘の兄貴だぜ!
リーバーさんも困った顔、ここはちゃんが一肌脱ごうじゃないか。
「リナリー、…やってほしいなv」
なーんて。
ちょっとぶりっ子気味。うわっ吐き気する。自分でも吐き気する。
あ、アレンが視線逸らしてる、リーバーさんポカンとしてる!
神田はあえて見ない!
「リーバー班長、3秒以内に言うならいいわよ。3・2…」
「室長、リナリーが結婚するそうです!」
急いで耳元に口を寄せてリーバーさんが言うと、泣きながらコムイさんは覚醒。
リナリーの名を叫び散らしたので、当然リナリーが美脚ショットで吹き飛ばしたけれど。
頭にでっかいタンコブこさえて、コムイさんは任務の話を始めた。
イスに座ろうと思ったけど、アレンと神田が両端に座ってるから私真ん中しか座れないのよ。
絶対やだから、立ちっぱなし!
リナリーが資料を手渡してくれた。今度は日本語版、うん分かりやすいね!
残りの2人には投げつけてらっしゃります。ええ、手裏剣の如く!
「さて、時間が無いので粗筋を聞いたらすぐに出発して。
詳しい内容は今渡した資料を行きながら読むように…って、何君たち、もう仲悪くなっちゃったのキミら」
呆れ気味に言うコムイさんに殺意を覚えてしまった。
なーんもしらんでぬけぬけとー!!!
「でも、わがままはきかないよ」
声が、真剣になるコムイさんに私は黙って話を聞いた。
南イタリアでイノセンスが発見された。だけどアクマに奪われそうらしい。
急いで敵を殲滅して…イノセンスを保護することが任務。
地下水路では、団服姿のアレンが拝めました!萌えるねーアレン!
そのぶかぶかさが丁度いいよ!萌えポイントよ!っとかおもっていたら、
アレンの袖からティム登場!真っ先に反応したのは黒姫で、2匹はまた踊りだす。
「ちゃん!」
私はコムイさんに呼ばれて振り返る。
「辛いことが多いけど、君は…エクソシストだよね?」
その問いに、私は迷わず頷いた。
人が死ぬんだ。悲しいことだけど、それでも私はアクマから…
アクマからできるだけの人を守りたい。
アクマを退治するのがエクソシストの仕事かもしれない。
だけど、アクマから無知な人を守るのも…エクソシストの仕事だって信じたい。
「行ってらっしゃい!」
笑顔でそういうコムイさん。
私とアレンは頷いて
「行ってきます!」
そういった。
その頃食堂!
「ちゃんの為に作った料理だったのに…!」
残されたBセット(ハンバーガーは無い)を目の前にたたずむアタシ。
くぅー!
「他のものより彩り鮮やかにして、可愛らしく仕上げた自信作を…うぅ…!食べてもらえなかったなんて!」
悲しいわ!切ないわ!
「うふふ、こうなれば復讐あるのみねェ…」
目の前にあるそば粉。
そうよ、そうなのよ。全て神田君が悪いんだから。
リナリーから分けてもらった『秘薬』を混ぜ込んで、今度出してあげるんだから…!
「神田君も黙ってれば可愛いから、部屋に飾っちゃおうかしら!うふふ!」
ジェリーの野望を知らずして、神田は息詰まる任務に借り出されたのであった。